虫歯の検査と診断
虫歯は、見た目だけで正確な深さや広がりを判断できるとは限りません。
特に、歯と歯の間や詰め物・被せ物の内側にできた虫歯は、表面から確認しにくいことがあります。また、歯がしみる、噛むと痛いといった症状があっても、知覚過敏、歯のひび、歯周病、歯の根の炎症など、虫歯以外の原因が隠れている場合があります。
診察では、症状が始まった時期や痛み方などを伺い、お口の中を確認します。必要に応じてレントゲン撮影などを行い、虫歯の位置や深さ、歯の神経との距離、歯の根や周囲の骨の状態を調べます。
そのうえで、
- ・虫歯を削らずに経過をみられるか
- ・詰め物による治療が必要か
- ・被せ物が必要な範囲か
- ・歯の神経を残せる可能性があるか
- ・根管治療が必要か
- ・歯そのものを残せる状態か
などを判断し、治療方法をご説明します。
虫歯の進行段階と治療方法
虫歯の進行段階は、一般的にC0からC4までに分けて表されます。
ただし、同じ進行段階であっても、虫歯の位置や広がり、残っている歯質の量、歯のひび、噛み合わせ、歯ぎしり・食いしばりの有無などによって、適切な治療方法は異なります。
以下は、それぞれの段階で考えられる状態と治療の目安です。
進行段階:C0
穴が開く前の初期虫歯
状態
歯の表面からミネラルが溶け出し、白く濁って見えたり、部分的に色が変わったりしている状態です。まだ歯の表面に明らかな穴は開いておらず、痛みやしみる症状もほとんどありません。
主な対応
すぐに歯を削るのではなく、虫歯の活動性や進行する可能性を確認しながら経過をみます。
- ・フッ化物の活用
- ・歯みがき方法の見直し
- ・デンタルフロスや歯間ブラシの使用
- ・飲食習慣の改善
- ・定期的な経過観察
などによって再石灰化を促し、虫歯の進行を抑えます。
進行段階:C1
エナメル質にとどまる虫歯
状態
歯の表面を覆っているエナメル質の範囲に虫歯が進んだ状態です。小さな穴や色の変化が見られることがありますが、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。
虫歯は必ずしも黒く見えるとは限らず、白く濁った状態や、見た目では分かりにくい場合もあります。
主な治療
虫歯の状態や進行する可能性によっては、セルフケアとフッ化物を活用しながら経過をみることがあります。
削る必要がある場合は、虫歯になった部分を必要な範囲で取り除き、主に白い歯科用プラスチックであるコンポジットレジンなどで修復します。
進行段階:C2
象牙質まで進んだ虫歯
状態
エナメル質の内側にある象牙質まで虫歯が進んだ状態です。
冷たいものや甘いものがしみることがありますが、進行していてもほとんど症状がない場合もあります。象牙質はエナメル質よりもやわらかいため、内部で虫歯が広がることがあります。
主な治療
虫歯になった部分を取り除き、失われた範囲や歯の位置に合わせて修復します。
比較的小さな範囲であれば、コンポジットレジンを直接詰める方法があります。範囲が広い場合や、噛む力が強くかかる部分では、歯型をもとに作製したインレーやアンレーなどの詰め物を使用することがあります。
C2だから必ずインレーになるわけではなく、歯に残っている部分の量、虫歯の位置、噛み合わせなどを考慮して治療方法を選択します。
進行段階:C3
歯の神経付近、または神経まで進んだ虫歯
状態
虫歯が歯の内部にある歯髄まで近づいている、または歯髄まで達している状態です。
冷たいものだけでなく温かいものがしみる、何もしていなくてもズキズキ痛む、夜間に痛みが強くなるといった症状が現れることがあります。
一方、神経の状態や虫歯の進み方によっては、深い虫歯でも強い痛みを感じない場合があります。
主な治療
虫歯の深さや歯髄の状態を確認し、神経を残せる可能性がある場合は、歯髄を保護する処置を検討します。
歯髄の炎症が回復できない状態や、歯髄が細菌に感染している場合は、歯の神経を取り除き、根の中を清掃・消毒する根管治療が必要になります。
根管治療後は、残っている歯質の量や歯の位置などに応じて、詰め物や被せ物で歯の形と機能を回復します。
※詳しくは「根管治療」のページをご覧ください。
進行段階:C4
歯の大部分が失われた虫歯
状態
虫歯によって歯の頭の部分が大きく崩れ、歯の根だけに近い状態になっています。
歯髄がすでに死んでいると、一時的に痛みを感じなくなることがあります。しかし、虫歯が治ったわけではありません。歯の根の中で細菌感染が進むと、根の先に膿がたまったり、歯ぐきや頬が腫れたり、再び強く痛んだりすることがあります。
主な治療
C4であっても、すべての歯を直ちに抜歯するわけではありません。
歯の根の状態、ひびや破折の有無、歯を支える骨、歯ぐきより上に残っている歯質の量などを確認し、歯を残せる可能性を検討します。
保存できる場合は、根管治療を行い、土台と被せ物によって歯の機能を回復します。
一方、歯の根まで大きく割れている、虫歯が深く歯を支えられない、感染や炎症が著しいなど、治療後も歯の機能を保つことが難しい場合は、抜歯を検討します。
抜歯した部分については、お口全体の状態やご希望に応じて、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどにより、失った歯の機能を補います。
進行段階だけで治療方法は決まりません
C0からC4までの分類は、虫歯の進行を理解するための目安です。
実際の治療では、虫歯の深さだけでなく、
- ・虫歯の位置と広がり
- ・歯に残っている健康な部分の量
- ・歯の神経の状態
- ・歯のひびや破折
- ・噛み合わせ
- ・歯ぎしり・食いしばり
- ・清掃のしやすさ
- ・以前行った治療の状態
などを総合して判断します。
同じC2やC3と説明された場合でも、すべての方が同じ治療になるわけではありません。できるだけ歯や神経を残すため、その歯の状態に合わせた治療方法を検討します。